普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

遅効性着丼

連休最終日、少し前から気になっていたラーメンを食べようと思いたち、颯爽と家を出た。

11月も後半とはいえ日が出ていれば暖かく、大げさな上着を着込む必要などなく駅に向かう足取りは軽かった。

そして電車に乗ること数駅。目的の駅に到着し、足早に目的の店へと向かう。目的の店が視認できる程度の距離まで来たときに同行していた妻から「まさかあの行列のとこじゃないよね?」との言葉が。

僕も妻もいくらおいしいと言われているお店でも並んでまでは食べようというタイプではない。いや、なかった。なぜなら今日、その行列に並んだからだ。人生で初めてのことである。

おなかがラーメンのおなかになっていたのと件のラーメンが妙に気になっていたこと、代わりの目星も特になく探すのも面倒という条件がいくつか重なったことで普段しない行動に至ったのだと思う。なによりものがラーメンだ。多少列が出来ていたとしても回転率高くてなんぼであろうと高をくくっていた部分もあった。

そうして並び始めて15分ほど。列がまったく動かない。それどころかお店からお客さんが出てくる様子もない。どういうことなのか理解ができず妻に列を任せて外から店内を確認してみるも、店内では普通にラーメンを食べているお客さんの姿が見える。そこからまた数分経ってもやはりお客さんは出て来ず、列から店内に入店するひともいない。

時空、歪んでる?店内と店外の時間の流れる速度にずれが生じているのではと本気で思うくらいに並んでいる列は不動であった。たぶん30分はそのままだったんじゃないだろうか。

それか誰かを店内に呼び込まないと中のひとが出られないホラーとかにあるあの構造かなにかかとすら思えた。散々恐怖を味わった後に誰かをおとりに店を出ることが出来たひとは必ず言うのだ「最高においしかった!」と。こうして今日も犠牲者が…

などと店に対して失礼千万な妄想を繰り広げていたが、実際のところはなんのこともなく、僕らのいた角度から見えない出口があったということのようではあったのだけど。でも最初の30分くらいは本当に列に動きがなかったのは謎だ。

並んで30分超えたあたりから別のお店を検索し始めてみたりはしたのだけど、せっかく並んでいるし、ここまで並んだ時間を無駄にもしたくないという半ば意地のような気持ちも湧き起こり、行列に参列するというのはチキンレースであるのだなと気を引き締めた。やってやろうじゃないか。

しかし、冒頭で述べたように日差しさえあれば暖かいということもあったため時期を考えると結構薄着である。そして行列は日陰。秋らしい風も吹きすさぶ。うむ、寒い。

しかしこの時点で並び始めて1時間は経っている。もう寒さくらいで妥協出来ない域に達していた。列も超牛歩的にだが進んでいる。おとなしく順番を待った。

最終的に1時間半くらい待ったところでやっと入店、オーダー。そうしてサーブされた待ちかねた一品がこちら。

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白味噌ベースのこってり味噌ラーメンという感じのラーメンでめちゃくちゃうまかった。これは待って良かったと思える味だった。寒さからの解放と達成感というのも多少加味されているのかもしれないけれど、他で食べる味噌ラーメンより断然好みだ。

念のため言っておくと、誰かを犠牲にしないと店から出られないからうまいとかいってるわけではない。素直においしいもの食べてほっこりした。そして帰りは妻とこの一杯を讃えあって帰路についたのであった。

 

長時間の待ち時間が発生しても我慢して並んだのって病院の待ち時間以外だと人生で片手ほどもないかもしれない。その代わり病院での待ち時間の累計は知人、友人間で随一だろう。もしかしたら地区予選くらい通るかもしれない。

なにせ朝の8:00に受付しているのに終わるのが16:00頃とかざらだったのだ。それ、待ち時間っていうんか?という次元である。

と、まあその話はまたにして、まだ狙いのラーメンがあるので今回のことにめげずに挑んでみようと思う。なるべく並ばない工夫を事前に調べて。