普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

むくむくむくむ

透析をしていると水分制限を余儀なくされる。なにしろ尿が一滴たりとも出ないので、透析で除水の必要がある。透析で除水ができるといってもそんなに大量の水分を一度に体内から抜くのは身体に負担がかかるため、水分摂取制限が必要となってくるわけだ。

僕の場合、一度に2.8キロまでしか除水が許されていないので、それにおさまるように過ごさなければならない。この数字、水分だけでなく食事の重量も含まれるので、控えめに食事をしたとしても純粋な水分として摂取できる量というのはかなり限られてくる。ちなみに透析から透析までの間隔は平日でまる2日、週末で3日だ。

これはなかなかにしてストイックな話で、禁欲という言葉がもっとも似合わないアワードにいつ選出されてもおかしくない僕には結構なストレスとなる。と、思われたのだが、いざ透析が日常に組み込まれたらそれはそれ。ストレスがないとは言えないけれど、意外となんとかなっている。

とはいえ、いつだって我慢ばかりできるわけでもないし、シチュエーション的に自分のペースのみでことを進められないタイミングというのはある。

なにをごにょごにょと言い訳がましく言っているかというと、先週末水分を取りすぎたのである。まあ取りすぎたからといって即死とかないし、そんなに頻繁でなければ病院側からも厳重注意などもないのだけど、単純に気が滅入る。

透析で2.8キロまでしか除水が出来ないのでそれを超えた場合は残した状態で次へ繰り越されることになるのである。お持ち帰りということだ。そしてその状況ってなんだか借金をしているようで落ち着かない。透析を終えているのに数百グラムの水分が身体に残ったまま次の透析まで過ごさなければならないので、本来2.8キロというバッファがあるはずのところを残した分だけマイナスの状態で始めなければいけない。今までの経験上、400から500グラムで1食分だと思うので、それくらい残るとその分我慢の必要が出てくる。

そんな状況の中で今週はだいぶ体重が増えた状態での一週間の始まりとなった。水分が身体の中で余剰となっているのでなにしろ浮腫む。朝起きて誰だね君は?と問いたくなるほど顔が浮腫む。妻からも一通りいじられたりもする。こんなときはもう外に出ずに家で過ごしたいと心から思う。女子か。

ちなみに脚もとても浮腫む。特にすねまわりが浮腫みやすいのだけど、明らかに太くなっているし、それを手で掴むと手の跡がつく。それはちょっとウケる。浅草にあるお相撲さんの手形のやつみたいのが僕の脚にできるわけだ。考えようによってはちょっといいもの感を出せるかもしれない。

いまいち真剣味に欠けているように感じるかもしれない。そう思ったのならその感覚は正しい。実際に真剣味に欠けているので。

というか真正面から向き合いすぎてしまったら疲れてしまう。なにしろこれが自分の日常だし、この先長いこと透析をしていく予定なのだから。

もし透析患者のひとでこのブログにたどり着いたというひとがいたのだとしたら、適度にゆるくやっていくのがよいよと進言いたします。

 

食事を極限まで絞って水分に転嫁するためには仙豆のようなものが開発されるのを待つしかないな。全国の、いや、全世界の豆関係者様におかれましてはご一考頂ければ幸甚でございます。

豆のような男からのお願いでした。

現場からは以上です。