普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

かっちかちAGE

中学生、高校生のころというのは人生において、自意識が最も過剰になる時期であると思っている。

服装、髪型に気を使いはじめたり、異性に対して自分をどう魅力的にみせるかなどを考えに考えぬく日常である。

そんな時期の大半を僕は太って過ごしていた。

大半、というのは痩せていた時期もわずかながらあるということだけれど、思春期の自意識への熱量からすればそれは海に入浴剤を溶かし込むかのごとく圧倒的に存在感の薄い時間であった。

原因というのは明白で、薬による副作用だった。中学にあがる頃から腎臓の調子が悪くなり、ステロイドが処方されたため、その副作用ということだ。

なので、薬を服用している最中は本当に何をやっても痩せないし、それどころかみるみる体重は増えるし顔は丸々としていく。でも下半身は太らないのでハンプティダンプティみたいなひとがいたらそれはステロイド服用者だ。

当時の写真てほとんど残ってないけど、たぶんぱんぱん過ぎてふっくら感を通り越してなんかかたそうな感じになってたと思う。詰まってるなーという感じ。

自意識を煮詰めまくったような思春期にそんな風態というのはなかなかにして痛手である。しかもゲームとか漫画とか好きだったのでオタクと思われていたかもしれない。なんならどぅふふとか笑ってたかもしれない。僕が中高生の頃は今ほどオタクに寛容ではなかったのだ。あとメタルも好きだったな。それも絡みづらい要素の一つではあったと思う。結果としてはメタル好きでよかったのだけど。

服とか髪型をどうこうしようとしても肝心なネイキッドボディに問題があるので手の施しようがない。それは僕だってそのあたりに興味を持ってどうにかしてみようとしてみたことはある。でも今みたいに服をネットで買うような時代でもないので、おしゃれな服を買いに行くための服装みたいなのが必要になってきて、それをどうにもできずに断念という体たらくであった。それもう向いてないじゃないかという話ではあるのだけど。

そんな煮詰められた思春期爆弾岩である僕にも転機が訪れる。高校2年の頃だったと思う。

進路を決める時期が訪れたのだ。

その頃はなにはなくともギターでメタルを引き倒すという日常だったので、爆速で音楽学校に進学することは決定していた。試験なども特にないの学校だったのでそこもパス。

ではなにが引っかかってくるかといえば、思春期爆弾岩ボディである。

専門学校は東京だったので、当然上京する。しかも学生とはいえギタリストとしてだ。

こんな見た目で東京の地を踏むわけにはいかない!そう一念発起して残りの高校生活は本気のダイエットに勤しんだ。たぶん人生で一番努力してたのってあの時期じゃないかな。

食事とか運動とかは当然、半身浴がよいと聞けば湯船に中途半端に湯をはり、カプサイシンが良いと聞けば唐辛子のみがはいったおかゆを自作して食べたりしていた。

そんなことを一年半ほど続けた結果、最終的には目標であるところまでは達成できなかったけれど、8割くらいのところまでは到達できたと思う。

そして高校を卒業。晴れて東京へと旅立つのであった。

ただ、上京後の食料事情で体重はみるみる減って、最終的には当初の目標の12割くらい痩せた。食べることって大事だなと思った次第です。

 

たまにはお題でブログを書いてみようって思って書いてはみたものの、そこまで鬱屈とした暗黒時代でもなかったかなと思ったりもする。でもそれは今だから言えることであって、当時としては明日の自分を左右するような話であったかもしれない。ちょっと曖昧だけど。

 

とはいえ、そんなぱんぱんの爆弾ボーイだってそれなりの若者時代を過ごして結婚なんかもしたりすることもできてりするので、世の思春期爆弾岩たちにおかれましてはその瞬間のベストを尽くすということに精をだしていただきたく存じます。

 

 

 

 

 

 

お題「わたしの黒歴史」