普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

意外性ワンプレート

世の中にはたまに強烈な個性をもったアーティストが現れる。僕の守備範囲は音楽なので、主にバンドでそれを知ることになる。

 

創作活動をしている限り、多かれ少なかれ創造的でありたいと願うものだ。

強烈な音楽が現れると色々な思いが生まれる。驚き、憧れ、嫉妬、羨望などなど。

否が応にもその個性はインプットはされるので、自分のなかで生まれた感情とどう折り合いをつけてアウトプットをどうしていくのか、ということがクリエイターとしての腕の見せ所なのではないかと考える。

 

あまりに憧れすぎてしまってインプット、アウトプットがほぼそのままというケースもあったりするけど、さすがにそれはどうかと思う。

自分の中のフィルターみたいなものを通してアウトプットできるのが自分が思う望ましい姿だ。

 

例えば、ストラトヴァリウスというメタルバンドがいる。

そのバンドはネオクラシカルと呼ばれるクラシカルな要素をとりいれたメロスピバンドなのだけど、イングヴェイというネオクラシカルの先駈けのようなひとの模倣といわれがちだった。

でも、僕からしたらイングヴェイよりもよりメロスピ然としているし、ハロウィンやガンマレイといった当時でいうところのジャーマンメタル要素もふんだんに取り入れていたのでイングヴェイよりも好きなくらいだった。

 

要はいいとこどりなのだけど、それが僕にとっては響いたわけだ。

海鮮丼も食べたいけど、ハンバーグも食べたい。でも二人前はさすがに頼めない。

だったらワンプレートに両方乗ってたらお得!といったように。

刺身とハンバーグの組み合わせはどうかと思うけれど。

 

ただ、音楽におけるワンプレートはたまに本当に刺身とハンバーグを一緒盛りにしたようなのが出てくるからすごいし、面白い。もちろん好き嫌いはとてもわかれる。

うえのストラトヴァリウスなどはワンプレートぶりで言ったらハンバーグとオムライスくらい。

やってくれたぜ!と小躍りできる程度の親和性と人気だと思う。

今は活動してないと思うのだけど、トマトスティールというバンドがいた。

そのバンドはグラインドコアボサノヴァが融合していたのだからたいそうたまげたものである。

えー!そこ?と心底思った。でもそれがめちゃめちゃかっこよかったのだ。

僕にはどう頑張ってもひねり出せない世界観であった。

他にはデリンジャーエスケーププランというバンドの場合はハードコアとアヴァンギャルドジャズだ。

どちらもワンプレートを誰も想像できないところをもってきたわけだ。

プルコギとうなぎのゼリーよせがワンプレートになってるくらいにすごい。

その組み合わせは出来れば生涯出会いたくないワンプレートだけど、バンドのほうは文句なしにかっこいい。

 

そういったものすごいバンドに出会ってしまったとき、それをどう自分のなかで咀嚼するのか、というのが自分の中の課題でもあった。

結局それがうまくできていたのかどうかはわからないのだけど、少ないながらもひとに愛してもらえる曲を披露できたのだからひとまずよしとしよう。

 

最近、またちょっとバンドをやりたくなってきているので感性を磨いていきたい。